経営者同士の握手

M&Aを検討する際には法務の重要性や法律上の問題などを熟知しておかなければなりません。

会社法のみならず、金融商品取引法や独禁法等多くの法律に抵触しないか用心深く確認しておく必要があります。

M&Aの取引では利害関係者が存在し対立することもあります。

債権者や労働者を保護するため多種多様な法律

M&Aにおいて法務関連が必要なのはどのような場面でしょうか。
会社が事業譲渡などのM&Aを行おうとした場合には、会社の設立・組織・運営および管理を規律する会社法が適用されます。

会社法においては、M&Aにより不合理な不利益を被る可能性のある債権者や労働者などを保護する様々な手続きが定められています。

M&Aが会社分割であった場合には、労働者保護のため、労働契約承継法が制定されており、会社法の手続きに加えて、労働契約承継法に従った手続きが求められます。

また、会社法や労働者承継法などとは別に取引などを規制する金融商品取引法、独占禁止法や外国為替法などの規制も存在します。

特に独占禁止法は、企業側が商品を独占する事態になると、消費者が搾取されてしまう危険があるため、正しく市場経済の競争が成り立つために制定されています。そのほか、M&Aに関係する法律として公開買付、開示規則、建設業法などがあります。

債権者や労働者を保護するため多種多様な法律

M&Aを行う際に様々な法律が絡んできます。
主な法律は以下になります。

  • 会社法
  • 独占禁止法
  • 金融商品取引法
  • 建設業法など
  • 会社法

    M&Aを行う場合には必ず適用されるのが会社法です。一般的な場合の会社債権者や労働者などの保護、手続きや対抗要件などが定められており、これらの手続きに従わなかった場合における効果や訴訟などでの争い方なども定められています。

    独占禁止法

    独占禁止法は、会社による企業結合が一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合および不公正な取引による企業結合が行われる場合に、当該企業の結合を禁止します。

    金融商品取引法

    金融商品取引法は、国民経済の健全な発展、投資者の保護に役立てることを目的としています。規制の内容として企業内容等の開示規制、金融商品取引業者に対する規制、金融商品取引所に対する規制を掲げて有価証券取引の公正化、有価証券の流通の円滑化、金融商品等の公正な価格形成を図ります。

    建設業法

    建設業法は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化などを図ることによって、建設工事の適正な施工を確保し発注者を保護、建設業の健全な発達を促進し公共の福祉の増進に寄与することを目的としています。

    売り手側は法務デュ―デリジェンスを徹底

    顎に手をあてて考える経営者
    会社売却では、事業用の資産や株式など、あらゆる資産や権利の所有権が買手企業に移転します。

    したがって、所有権の所在や移転の可否なども法務デューデリジェンスにより入念に確認することが求められます。M&Aを済ませられたとしても、その後の事業継続で法律上の問題が発生すれば、大きな損失が生じてしまいます。

    M&A実施前に法務デューデリジェンスを徹底して、あらゆる問題点を洗い出しておく必要があります。買手側はリスクの回避を目的におこなう法務デューデリジェンスですが、売手から見ると自社の悪い部分をすべて洗い出されるプロセスに他なりません。

    結果次第では会社売却の話が白紙になったり、売却価格が下がる可能性もあるため、不利な情報は伝えたくないのが本音です。交渉やデューデリジェンス時に自社にとって不利な情報を隠せたとしても、会社売却後にそのリスクが発覚した場合、損害賠償訴訟を起こされてしまうこともあります。

    まとめ

    M&Aを済ませるには、様々な法律上の問題を考慮しながら進めなければなりません。M&Aを検討しているならば、M&Aにおける法務の重要性や発生し得る法律上の問題を知っておくことが大事です。どんな会社にでも法的リスクや不完全な契約は存在します。

    会社売却を少しでもスムーズに進めるためには、そのリスクをまず売手自身がしっかりと認識した上で、誠実に買い手に共有することが重要となります。

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