後継者不足と経営者高齢化のレッテルが貼られたビルの模型

M&Aが起こる背景で経営者の高齢化が挙げられます。経営者たちが高齢になり引退を考えた時、後を継がせる親族や社員がいない場合、会社をたたまずにM&Aを選択します。

事業は子供に継がせるものと考えがちですが、現在会社で働いている従業員や社員から適任な人材を探して経営者としての地位を譲渡するケースが増えています。

後継者問題がM&Aの大きな背景に

後継者に事業承継をする時には、経営者が持っている株式を譲渡するとともに、経営者が普段遂行している仕事を代わりにしてもらえるように後継者として育成します。引継ぎもしなければなりませんし、取引先にも新しい後継者を周知させて受け入れてもらう必要があります。

後継者不足での主な問題点は以下になります。

  • 少子高齢化の進行
  • 親子間価値観の変革
  • 後継者選びの遅滞―
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    少子高齢化問題が招く問題

    特に小規模な企業や個人事業者ではその傾向が顕著で、先代の子が事業承継する割合は半数に上っています。中小企業でも規模が大きくなるにつれて親族外承継の割合が増加しますが、小規模企業や個人事業の事業承継は子が担う傾向が続くと見られています。

    現在は少子高齢化で子供の数が減少していますので、後継者となる子供がいないパターンも増えています。少子高齢化問題は後継者不足に影響を与えています。

    親子間において事業承継の価値観が変化している点も後継者不足の理由になっています。子が親の会社を受け継がないという価値観が生まれた背景には、働き方の多様化があります。

    経営者側も資質の問題で子以外を後継者としたい考えを持つ人がいますし、経営者とその子も後継者になることが正解ではないという考えとなり後継者不足という問題を起こしています。

    一時的に親族に事業を預けるワンポイントリリーフも

    後継者選びを早期にしていないことも後継者不足の理由として挙げられます。後継者選びは時間がかかります。

    中小企業が後継者を選ぶのに要した期間は3年を越える例が全体の4割を占め、後継者選びやノウハウの継承や育成などの期間を含めると、最低でも5年程度の長期的な視点で事業承継を進めていく必要があります。

    実際に後継者が決定しない理由に、候補者から了承が得られないことも上位に入ります。事業承継を先延ばしにすると、後継者不足の問題がより深刻化してしまいます。

    後継者不足の解決策は後継者の早急な育成と言えます。事業を託す上で親族や内部の従業員は信頼でき、安心して会社を任せられる立場になります。後継者候補が複数いる場合は、対立が発生する恐れがありますが、配偶者や実子等の親族への事業承継に成功すると贈与税や相続税といった税制が優遇されるメリットもあります。

    育成を成功させれば事業承継をスムーズに進行できます。一方で配偶者や実子以外の親族や従業員に承継させる際は、後継者となる人間には事業全体を買い取れるだけの資金力が必要となります。技術や知識だけでなく、資金力の面でも経営者のサポートが必須になるため注意が必要です。

    また、実子が成人するまでの期限付きで、一時的に兄弟姉妹等の親族に事業を預けておく「ワンポイントリリーフ」と呼ばれる手法もあります。後継者不足を認識した時点で後継者の育成を始めては、事業承継に間に合わない可能性が高いです。

    M&Aで新たな事業展開のチャンス

    人材マークの付いたブロックを積み上げる男性
    後継者の選び方には、大きく分けて親族内承継、親族外承継、M&Aの3種類があります。多くのケースで何世代にもわたって子息・子女が経営を引き継いでいく親族内承継が採用されていましたが、親族外承継やM&Aの手法を用いることが多くなっています。

    親族内承継には、経営方針など企業のスタイルをそのまま引き継いでもらえる、後継者の準備期間を確保しやすいといったメリットがあります。しかし、その反面、親族内に経営の素質と意欲を併せ持つ後継者がいなければ安心して引き継がせることができないというデメリットがあります。

    親族で後継者がなかなか決められないという問題以前に親族などに後継者がいない方も増えています。そうした中、注目を集めているのが、M&Aによる事業承継です。

    株式や事業を他の企業などに譲渡し、経営を承継することで後継者問題が解決されるだけでなく、M&Aの相手先との協業により、経営基盤の強化や新たな事業展開のチャンスが期待できます。

    まとめ

    近年は子供をはじめとした親族が後継者となるのを拒むケースが多いです。子供には自由に生きて欲しいと考える経営者の方も増えています。

    従来の様に家業を継ぐのが当たり前ではない現代では、従来の解決策が通用しない可能性が高いです。具体的には会社の強みである分野を伸ばし、企業価値を高めておくと柔軟に動くことが可能となります。

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